2015年2月14日土曜日

展覧会のご案内 【伏木寛道 米寿絵画展】


このブログでも制作経過を紹介してきた(2013年3月6日・2014年10月5日のブログ)伏木寛道さんの米寿絵画展がいよいよ始まります。 

期間:2015年2月17日(火)~22日(日) 
      11:00~18:00(最終日は16:00迄)

場所:京橋 ギャラリーくぼた 1階 
         東京都中央区京橋3-7-11 ℡:03-3563-0005

    *この展覧会は、盛況のうち無事終了致しました。







伏木さんは、60歳を過ぎてから本格的に油絵を始められたそうです。風景画を中心に制作されていて、画題を求めて国内はもとより海外まで取材旅行をされています。3年前からこの個展を計画たて、すべてご自分で準備をされてきました。アトリエラポルトで仕上げられた作品も多数展示される予定です。



1枚1枚丁寧に描き上げた油彩作品は、「絵を描く」「描ける」喜びと幸せに溢れています。

お時間のある方は、是非ご覧頂きたい展覧会です。

2015年2月3日火曜日

寒暖のグリザイユの作品への応用

2014年12月7日のブログで、グリザイユにおける寒暖のニュアンスについて(ニュアンスのシンホニー)説明しましたが、今回はその作品への応用を考えてみたいと思います。

アンリ・バルツの本(Grammaire de dessin. Henry BALTH 1928)を参考に、E.f.さんにご協力を頂いて、佃島に取材された風景画を元に2種類の単色画を描いてもらいました。












1枚は、青系統による単色画で「青のニュアンスによるシンホニー」とバルツが呼ぶ方法です。

使用した絵具は、コバルトヴァイオレット、セルリアンブルー、コバルトブルー、ウルトラマリンで、これに彩度の調節にランプブラック、明度の調整にシルバーホワイトを加えました。コバルトヴァイオレット、セルリアンブルーが暖か味の青、ウルトラマリンが最も冷たい青になります。これを空間の前後関係や光と影に合わせて使い分けていきました。





佃島 (青のシンホニー) M4


もう1枚は、赤系統の単色画で「赤のニュアンスによるシンホニー」です。


使用した絵具は、ネープルスイエロー、イエローオーカー、ブラウンオーカー、ローシェンナ、バーントアンバーにシルバーホワイトです。バーントアンバーをベースに近景や明部にレッドオーカーからネープルスイエローに向かう温か味のある絵具を加えていきました。





佃島 (赤のシンホニー) M4
このようにグリザイユなどの単色画においても、「冷たい・暖かい」の変化を適切に付けることで、より一層空間感や光の輝きを表すことが可能になります。西洋では古くからおこなわれてきた方法です。

次にこの手法の応用例を巨匠の作品から見ていきます。





最初の2点は、ホイッスラーのノクターンシリーズからのものです。手段と目的が一致して素晴らしい表現効果を生んでいます。







次の2点は、ピカソの青の時代からのものです。空間的には、奥行きの浅い作品ですが、暖かい青と冷たい青の使い分けが見事にボリュームと前後関係を表しています。







暖系統を使った例では、やはり右のホイッスラーの作品が上げられます。このようにホイッスラーの作品は、一見写実的に見えますが現実の色の再現と言うよりも、明らかに意図的に色合いを作り、象徴的は表現効果を狙っているのが分かります。





また、ピカソの「ばら色の時代」の作品群は、その卓越した例と言えるでしょう。






最近の例は、カトランの作品に見ることができます。右のバラの絵は、背景の紫よりに寄った冷た目の赤に対し、バラのオレンジに寄った赤が、上のピカソの作品と同様の空間的効果をあげています。

2015年1月21日水曜日

展覧会のご案内

今回は私達の絵描き仲間の展覧会を紹介します。
共に西洋の古典絵画をベースに制作しています。
お時間のある方やお近くの方は是非ご覧戴きたい展覧会です。
  ・この展覧会は、盛況の内に終了致しました。


【嶋根幸延】

「ECHO」  F6

「眼差し」  F4

「百合」  F4


【鳥越一輝】

「2014.12.29」  333×242

「2014.12.7」  455×333

「2014.11.24」  606×455

《ふたり展》
東武百貨店 船橋店(JR船橋駅から徒歩0分)
 5階美術画廊
2015年1月29日(木)~2月4日(水)
午前10時~午後7時30分(最終日は6時まで)




2015年1月16日金曜日

アトリエの道具と画材 8 「木枠の楔について」

今回は、キャンバスを張る木枠の楔(くさび)の必要性について考えてみたいと思います。


右はアトリエラポルトにある19世紀フランスの絵です。32cm×25cmの小さな絵ですが、裏を見ると、木枠の四隅と中桟に三角形の楔が打ち込まれているのが分かります。




このような楔付き木枠は特別なものではなく、西洋のほとんどの絵の木枠には付いているものです。












例えば右はパリの画材屋で買ってきた張りキャンバスです。

楔は、湿度変化や経年変化で緩んできたキャンバスに張りを戻す目的で付けられています。
キャンバスが緩んできたら楔を金槌で軽く叩くと張力が戻る仕組みです。







右は1900年頃のルフラン社のカタログに掲載されていたもので、新型の木枠として楔の機能に代わる器具を紹介しています。

このように、西洋ではキャンバスは緩むのを前提に木枠を考えています。

ところが今の日本では楔のない木枠がほとんどで、キャンバスが緩んだ時は張り直さなくてはなりません。


写真Aは現在日本で売られている数少ない楔付き木枠の例です。



写真Bは、リキテックスのアクリル用ベーシックス・キャンバスで、袋に楔が入っていて自分で付けるようになっています。


B

B

キャンバスの緩みは、描きにくいばかりではなく、長期間そのような状態で絵を放置すると絵具層のひび割れや剥離の原因になります。特に湿度の変化の激しい日本では、キャンバスの伸びちじみも激しくて緩みやすいので、楔付き木枠の一般化が望まれるところです。


余談ですが、右のようにキャンバスを張った後の余りの部分を、木枠に沿って切り落とす方がいますが、これは絶対に避けるべき事です。キャンバスが緩んだ時に張り直しができなくなるからです。号数に関係なく2センチ以上は余分に残す必要があります。邪魔になったら、下のように、折り返してガンタッカーで留めておくとよいでしょう。

2015年1月7日水曜日

明暗をつけたデッサン

今回は、画家を目指して修行中のK.hさんが描いた明暗をつけたデッサンを紹介します。
すべてグレーの中間色の紙(キャンソン社製ミタント紙)に、木炭とチャコール鉛筆の黒と白で描いたものです。枚数を重ねるごとに、うまくなっているのが分かります。


1作目
明暗をつけたデッサン (424×348)


2作目
明暗をつけたデッサン (424×348)


3作目  制作過程も見ていきます。


まずは、いつもの通り線で形を出来る限り正確に描いていきました。大きな当たりは木炭を使い、細かい部分はチャコール鉛筆を使います。

グレーの紙の明度を基準にして、それより暗い所を木炭で大きく塗っていきます。この時、闇雲に現実の明暗を引き写すのではなく、デッサンの中でより効果的な明度関係と組み合わせを考えながら行うことが大切です。


明るい部分をチャコール鉛筆の白で描き起こし、全体の明度関係を確定します。


この後、擦筆やセーム革(またはガーゼ)を使い、浮いた木炭を抑えながら描き進めて、滑らかなグラデーションを作っていきました。















明暗をつけたデッサン (424×348)


3作目ですが、この手法で描いたデッサンとしてはかなり完成度の高い作品になりました。単にリアルな表現になっただけではなく、構図や明暗の配置もよく考慮されています。

まだ油絵は描いたことがないそうですが、どんな作品を作ってくれるか今から楽しみにしています。







2014年12月19日金曜日

裸婦を描く

今回は、裸婦デッサン研究会で描かれた油絵による作品を紹介します。


P10号
部分






















F6号
部分



F6号
部分






















M6号
部分



P8号
部分



M10号 
部分


毎週土曜日の夕方に、絵描き仲間が集まって自主的に始めた裸婦デッサン研究会も3年が経ちました。定員を8人に増やして、アトリエ・ラポルトの受講生も参加できるようになりました。デッサンの共通の基礎(文法)を学んだ人達が、モデルさんを見ながら同じ環境で描いたのに、出来上がった作品は実に様々です。本来の個性的表現とは、このようなことを言うのではないでしょうか?