花の中でも、ゆりはバラとともに、油絵のモチーフによく登場する花です。
円錐形のシンプルな形に、6枚の大きな花弁は、明暗とボリュームで表現する油絵には、ぴったりの花と言えるでしょう。
今回Yさんは、ゆりと楽器の組み合わせをテーマに、モチーフを組み立てられました。
ゆりを花瓶に活けるのではなく、楽器のケースに寝かしたところに、Yさんのセンスの良さを感じました。
技術的には、明暗法を基本にしたクラシカルな方法を選択されました。
中間色のグレーを地塗りしたキャンバスに、カッセルアースでデッサンと影を取った後、シルバーホワイトで明部を描き起こしていきました。
細部にこだわらずに、大きなボリュームと明暗を追っていきます。
明部の絵具の盛り上げは、最終的なマチエールに大きな影響を及ぼすので、表現効果を考えながらおこないます。
下書きとしてのグリザイユが出来上がりました。ゆりの束、ヴァイオリン、ケースのどれもが、難しい形のモチーフですが、右上がりの対角線をベースに、とてもうまくまとめられたと思います。この後、彩色に入りました。
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