人物画はモデルさんの都合で、なかなか見ながらじっくりと制作することができないものです。
その点静物画は、時間の許す限り、形や色の組み合わせを考えながら描き続けられるので、「対象を見て描く」という絵の基本的な訓練に適しています。
人物画を描かれていたMKさんには、物足りないモチーフかも知れませんが、あえてシンプルで明快な構成にして、じっくりと時間をかけて制作して頂きました。
まずは、キャンバス(P8号)と同じ大きさで、画用紙に鉛筆デッサンをしました。
Mさんは、1週間に半日のローテーションで制作されたので、加筆用二スを使って、つや引けの調整をしながら描いていきました。 加筆用二スは、様々なものが市販されていますが、アトリエでは、ターレンス社の“Retouching Varnish” をペトロールで1:1に割ったものを薦めています。 また、下の層を生乾きのような状態にして加筆したい時には、溶き油を薄めて塗るのもよい方法です。
薔薇 P8号 |
8号の大きさのシンプルな構成の作品ですが、デッサンから始めて約30時間かけて完成しました。
しっかりと対象を見ながら、粘り強く制作された成果が表れた作品になりました。 そこには、写真をトレースしたリアリティとは違う、対象の存在感と作者の目が感じられます。より一層「見る」ことを深めていって頂ければと思います。
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