2013年12月4日水曜日

明暗をつけた石膏デッサン

今回紹介するデッサンを描いたKTさんは、バリ島の伝統的な絵画技法を、現地の名匠から直接学んでこられた、ちょっと変わった画歴の持ち主です。 西洋画の技術も学びたいと、アトリエ・ラポルトに入られました。 線で形を表すことに慣れてきたKTさんには、今回は明暗でデッサンを描く方法にチャレンジしてもらいました。














アトリエ・ラポルトでは明暗を付けたデッサンをする場合、中間色の紙に描くことを薦めています。それは、明暗を付ける手数を大幅に減らし、形とボリュームの表現に意識を集中できるからです。西洋では、古くから行われていた方法です。  ここで使用した画材は、キャンソン社のミタント紙のグレー 、チャコール鉛筆の白と黒 、擦筆 、セーム皮 、練り消しゴム 、サンドペーパー(芯を尖らすために使用)です。

                                                  

参考までに、右は20年ほど前にフランスの画材店で購入したデッサン用紙で、昔(産業革命以前)と同じ製法で作られたものです。

西洋の昔の紙は、古布(亜麻)を原料に作られていたため、厚みがあり、表面がざらざらしています。中間色の色合いのヴァリエーションを知る上でも、貴重な資料になっています。



 
チャコールペンシルの黒で影を描いた後、白のチャコールペンシルで、ハイライトに向かって、明部を描き起こしていきました。


チャコールが浮いてきたら、擦筆やセーム皮を使って、押さえたりぼかしたりして、滑らかなモデリングになるようにします。













ミケランジェロ作「ダビデ像の目」 410×318

約15時間で、完成しました。トロンプルイユ(だまし絵)を思わせるような、リアルなデッサンになりました。現象的な陰影に惑わされずに、個々の形や凸凹が前後関係に従って、的確なボリュームで表されています。初めて、「中間色の紙に明暗をつけて描いたデッサン」とは思えないほどの出来栄えです。アトリエ・ラポルトでは、このようなデッサンを、単にデッサンの技法の一つとして捉えるのではなく、油絵に移行する過程としても有意義な方法だと考えています。





























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