2014年1月16日木曜日

静物デッサンを描く

アトリエラポルトに入られてから、石膏デッサンだけを描いてこられたKさんでしたが、今回は始めて静物デッサンにチャレンジしました。
静物と石膏像のデッサンの大きな違いは、「対象を構成(配置)する」という要素が加わる点です。すでに美しく造形され、木炭紙のサイズに入れやすいようにカットされた彫刻と違い、多様な形の静物を、紙の長方形にいかに配置するかが、静物デッサンの重要なポイントです。

Kさんにとっては、初めての静物デッサンだったので、基本的な三角形の構成になるようにアドバイスしました。
また、静物デッサンでは固有色の明度表現が必要になるため、教室では中間色の紙にチャコール鉛筆の白と黒を使って描くように勧めています。そうすることで、中間色の地を基準として、明るいか暗いかがはっきりと定められるからです。(中間色に明暗で描くデッサンについては、昨年の12月4日のブログを参照)
まずは、暗い方から描いた後、明るい部分を白で描いていきます。チャコールが浮いてきたら、擦筆やセーム皮で紙に馴染ませます。

現象的な明暗に惑わされず、形とボリュームを追っていく事が肝心です。そのためには、ハイライトに向かってモデリングをするとよいでしょう。


ミタント紙(キャンソン社製)にチャコール鉛筆
(550×380)
白と黒のチャコール鉛筆だけですが、個々の静物の色合いまで感じさせるようなデッサンになりました。それは、的確に明暗(Valeur)が捉えられている証拠です。個々の形の特徴もよく表現されていると思います。構図は、典型的なピラミッド構図ですが、いささか単調で広がりのない印象を与えます。補助に逆三角形の方向性を組み合わせるなど、画面構成の工夫が今後の課題と言えるでしょう。

黒田重太郎著「洋画鑑賞十二講」より


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