まず、レッドオーカーとシルバーホワイトを混色して、実際の明度より暗めに下色を塗ります。
肌全体に下色が塗れた状態です。グリザイユが透けて明暗の効果が表れるようにします。
明部をバーミリオンとシルバーホワイトで、ハイライトに向かって、ボリュームがでるように描き起こしていきます。
ハイライトは、シルバーホワイトに微量のネープルスイエローで、頬や唇の赤みは、マダーレーキ加えて描いていきました。
仕上げに、光から影への移行部に、ウルトラマリンを軽くグラッシしました。
髪の毛は、ヴァンダイクブラウンをベースに、レッドオーカーとイエローオーカーで色を合わせました。
背景の葉の固まりは、意外に難しい所です。筆の形状や大きさを合わせて、筆触の方向を考えて置いていきます。使った絵具は、カッセルアース、イエローオーカー、レッドオーカー、ランプブラックです。
原画は、短時間で一気に仕上げていますが、模写では、その勢いの感じを出すのに苦労しました。
ジョージ・ロムニー作 「エマ・ハミルトンの肖像」の模写 (720×600) |
写真からの模写で、教える側には不安がありましたが、幸い解像度の非常に高い画像や資料が手に入った上に、Eさんの熱意も加わって、素晴らしい模写の勉強ができました。それは、単に参考写真にそっくりになったからというのではなく、画家ロムニーの形態の捉え方や筆触、絵具の厚みや透明と不透明の使い分け、色合いの変化など多くのことを学べたと思えるからです。いつの日かニューヨークで原画に再会した時、それらのことを確認してみるとよいでしょう。きっと以前見た時とは、比べられないほどの感動を味わえることでしょう。それは絵を描く(または見る)本質的な喜びの一つだと思います。
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