今回紹介する本は、城一夫監修、色彩文化研究会著の「配色の教科書、歴史上の学者・アーティストに学ぶ美しい配色のしくみ」です。
現在、色に関する本たくさん出版されていますが、この本の画期的なところは、西洋絵画の変遷に大きな影響を与えた色彩理論を歴史を追って説明している点です。目次を見ていくと次のようになってます。
目次1. 調和論の萌芽(アリストテレスの色彩調和論 ダ・ヴィンチの色彩調和論)
目次2.色彩調和論の歴史 (色彩調和論誕生ーニュートンの色彩調和論ほか)
目次3.絵画と色彩調和 (ドラクロワの色彩 ターナーの色彩ほか)
目次4.PCCS(日本色研配色体系)と慣用的配色技法(配色の基本的な考え方ほか)
目次5.歴史を刻んだカラーデザイン(景観の色彩調和 建築の色彩調和ほか)
現代の画家は色彩を個人的な感覚の表われと考えがちですが、この本を読むと、西洋の絵画史の中では各時代の色彩理論(科学的発展の歴史)と深く結びついていたのが分かります。たとえば、印象派の明るく輝くような色彩は、ニュートン光学やシュヴルールの同時対比理論があったからこそ可能になった表現です。ただ単に自然を見て描いただけでは生まれなかったでしょう。そのような歴史的事実を知るのは、絵を見たり描いたりする上で必要な事だと思います。
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