今回はエコルシェの石膏像を描いたデッサンを紹介します。
エコルシェ(Écorche)とは、直訳では「剥ぐ」という意味で、美術用語では人体の皮膚を取り除いて筋肉を表した像を指します。
人体の形を解剖学から学ぶために作られ、昔の西洋の美術学校には必ずあった像です。その代表的なものが彫刻家ウードン(Jean-Antoine Houdon.1741-1828)が作ったエコルシェです。(右写真)
残念ながら日本では入手困難です。
現在日本で購入できるエコルシェの石膏像は、クードロン(jacques Eugene Caudron.1818-1865)制作の2体と作者不明の小型の像1体だけです。アトリエラポルトでは、クードロンの2体を所有しています。
今回その内の1体にチャレンジしたのは、香港からの留学生A君です。
この石膏像は、筋肉の形を学ぶ以前に全体のプロポーションを捉えるのが大変難しい像です。
時間をかけて何度も測り直しをしながら全身の形を決めた後、個々の筋肉を描きこんでいきました。
石膏像としての白さを保ちながらモデリングする(ボリュームをつける)ことが大切です。
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エコルシェ(650×500)画用紙に鉛筆 |
粘り強く解剖学の本と照らし合わせながら制作を進められて、完成度の高いエコルシェの石膏デッサンになりました。エコルシェを描く目的は言うまでもなく、人体の筋肉や骨などの形やつきかたを覚えることで、表面的な陰影の変化を描くことではありません。それにはかなりの制作時間と忍耐が必要ですが、確実に解剖学的認識を高める方法です。
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