今回は胸像としては難度の高い面冠女神像にチャレンジしたOさんの制作過程を紹介します。
この像は頭部に2つの顔があり、上がメデューサ下がペルセウスと考えられ、ギリシャ神話を基にして作られた像です。アトリエラポルトでは、デッサンから油彩(グリザイユ)に進む目安としている石膏像のひとつです。
まずは遠近法のグリッドと測り棒を使って、徹底的にプロポーションを測ります。
すべての形が線で捉えられてから、大きく明部と暗部に分けて、暗部から描き進めていきます。
暗部が描けたら明部の個々の形を光の方向と前後関係を考えながらモデリングします。
石膏の白さを保ちながらモデリングすることが重要で、非常にデリケートなハーフトーンの扱いが求められます。
完成
面冠女神像(650×500)画用紙に鉛筆 |
週1回1コマで4か月かけて仕上げました。細部の形までごまかさずに入念に描き込んだ力作です。
全体的にモデリングがもう少しボリュームに従って滑らかになればもっと良くなるでしょう。
このように存在する形をすべて描く基礎デッサンの考え方は、ジュリアンなどの19世紀フランスの手本集に見ることができます。現実の明暗の再現よりも形を重視しているので自然な印象とは異なりますが、西洋のクラシカルデッサンの基本がわかります。
アトリエラポルトでは形はデッサンで、現実の明暗(value)の再現は油絵具を使ったグリザイユで学ぶカリキュラムをとっています。 Oさんも次はグリザイユに進んでも良いと思います。
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