2023年10月13日金曜日

街角を描く

今回は都会の街角を描いた作品を紹介します。

風景画と言うと名所旧跡や大自然をテーマにした作品を考えがちですが、身近な場所からでも絵にできる例として見て頂けたらと思います。

いわゆる「匿名の風景」を描く場合は、ただ説明的な描写をするのではなく、何に感動したのかを造形的に考えて表現することが大切です。


作者のEさんが現場で描いたスケッチを見ると、強い日差しがつくった光と影のコントラストと形、ビルと道路がつくる垂直・水平の構図に心惹かれたのではないかと感じました。

教室ではスケッチを基にそれを整理してより強調する形で、キャンバスペーパーにエスキースを作って頂きました。大きさはハガキほどで、構成を考えるには小さいサイズで描いた方が細部に拘らずに進めやすいです。

単色で明暗の組み合わせから始めました。


決まった明暗の配置に従って色を置いていきます。影を青系統の色で、光のあたっている所を黄色系統の色で考え、その間をつなぐ色として緑を配置しました。最後にアクセントカラーとして赤を加えました。



エスキースを基にしてF4号のキャンバスに制作しました。
正方形だったエスキースを横長の長方形の構図を改め、黄金比で分割をおこないました。
また遠近法を使って奥行きを加えました。




完成。

街角の風景」 F4号 キャンバスに油彩


造形上の意図と現実の風景を見た時の実感とのバランスが難しい制作でしたが、そこに絵を描く本質的なおもしろさを感じて頂けたら幸いです。


0 件のコメント:

コメントを投稿