2011年6月18日土曜日

はじめてのデッサン



1枚目

 大学生のM君は、週に1度(2時間半)、授業とサークル活動の合間にデッサンを描きに来ています。

 小さい頃から絵は好きだったそうですが、デッサンを習うのは始めてとのことでした。

 4ヶ月間の成果を展示します。

2枚目


3枚目

 



4枚目


5枚目



2011年6月10日金曜日

作品の紹介 3

 ご自宅でバラ園をされているKさんは、以前から花を描きたかったそうですが、油絵は制作に時間がかかるので躊躇されていたそうです。そこで今回は、短時間で描ける油彩スケッチの方法についてアドバイスしました。

ミューズ社製 キャンバスペーパー
ブロック状で使いやすい
基底材は、キャンバスに代えて、キャンバスペーパーをお奨めしました。キャンバスペーパーは安価な上、吸収性が高いので塗り重ねがしやすい利点があります。反面、ツヤ引けしやすく、脆い欠点がありますが、スケッチの練習には最適だと思います。










 明るい色合いがお好みのKさんには、お持ちの油絵具の中から、ビビットトーンの系列に近い8~10色を選んでいただき、それに白を加えてパレットに並べました。

 例)カドミウムイエロー(またはレモンイエロー)、カドミウムオレンジ、カドミウムレッド、ローズマダー、コバルトバイオレッド、コバルトブルー、ウルトラマリン、ビリジャン、カドミウムグリーン、シルバーホワイト


溶き油は、リンシード油に樹脂を加えた、濃い目のものを使いました。


鉛筆でデッサンした後、ウルトラマリンに少量のローズマダーを混ぜてデッサンをなぞり、大まかに陰影をつけておきます。

 そしてパレット上で対象に近い色を混色して、直接キャンバスペーパーに置いていきす。


                          
 細部にこだわらず、大きな形とボリュームを追っていきます。筆触の方向性や色のニュアンスで対象の質感を暗示させます。

 
 2回分(5時間)で、出来上がりとしました。どこで筆を擱くかは誰しも迷うところですが、スケッチの場合は、多少の塗り残しやデッサンの荒さが目立っても、対象の印象が表現できたら終わりにしてかまいません。そこにスケッチのおもしろさがあると思います。

2011年6月4日土曜日

地震で破けた絵の修復 2

 前回は、裏からの傷の補修について説明しましたが、今回は表からの加筆についてです。

 
用意するもの
  充填材(白亜・にかわ)、水彩絵具(チューブ入り)、アクリルガッシュの白、修復用樹脂絵(RESTAURO)、ルツーセ(ターレンス)、テン毛丸筆(00号)、金属へら(小)、




1.絵具の欠損がある場合は、充填材で埋めてから加筆をするが、今回は写真のように幸い欠損がなかったので、すぐに加筆を行う。















2.水彩絵具から、パーマネントイエロー,ローズドレ,セルリアンブルーの3原色とアクリルガッシュの白を使い、それらの混色により、周囲の色に合わせながら、少し明るめに傷口に加筆する。(オリジナルの絵具にはみ出さないように注意すること) これは、後で塗る修復用樹脂絵具の下地となる。









3.水彩絵具で大体色を合わせたら、加筆部分より広めにルツーセ(ペトロールで50%に割ったもの)をハッチングするように塗る。











4.修復用樹脂絵具からオリジナルの絵具に近いものを選び、周囲の色に合わせて混色し、水彩の下地の上に、点を打つように置いてく。
傷が目立たなくなったら終了する。











2011年6月1日水曜日

地震で破けた絵の修復 1

 当アトリエに通われているMさんは、自宅に掛けていたご自身の絵が、大震災の時に落ちて穴があいてしまいました。





 そこで、今回は破れたキャンバスの簡単な修復方法をお伝えします。

























用意するもの
  ・クラフト紙 ・ガーゼ ・麻布(絵と同じぐらいの折り目のもの) ・紙やすり(280番位)
  ・接着剤(蜜蝋 7+ダンマル樹脂 2+  エレミ樹脂 1) ・メノウ棒



1.机の上にクラフト紙を敷いて、絵の面を下にして置く。
ガーゼ・麻布・接着剤



2.破けた部分よりひと回り大きくガーゼと麻布を切る。




3.ガーゼと麻布の周りの糸を数本抜きほぐす。











4.破けたキャンバスの周囲に、紙やすり(280番位)
  をかける 




5.ほこりを払った後、ガーゼをあてるところに固形接着剤を塗りつけ、ガーゼを置きメノウ棒でこすると、摩擦熱で接着剤が溶けて着く。ガーゼは、絵のキャンバスと補強の麻布との間に挟まり、緩衝体となる
















6.張り付いたガーゼの上に再度接着剤を付け、接着する麻布の接着面にも塗りつける。ガーゼを被うように麻布を置き、再度メノウ棒で擦りつける。 




 これで、裏面からの傷の補強は終わります。大きくキャンバスが裂けてしっまた場合は、全面を裏打ちするしかありませんが、今回のように数センチの裂目や穴には、簡単で有効な方法です。
 
 次回は、表面からのリタッチについて、説明します。                      







2011年5月24日火曜日

作品の紹介 2

ドライブのお好きなNさんは、行く先々で撮られた写真と記憶をもとに、教室で風景画を描かれています。今回は、新たな試みとして印象派の技法に挑戦されました。

 新印象派の画家シニャックの著書「D'Eugene Delacroix au neo-impressionnisme」に、印象派の方法ついての説明が載っています。Nさんにはそれを参考に、アドバイスをいたしました。


 結果として、写真の色とはかなり異なりますが、明るく軽やかな色合いの絵になりました。

 写真を参考に絵を描かれる方は多いのですが、どうしても写真の引き写しのような絵になりがちです。巨匠の技法や流派の方法論を参考にして、絵を再構成して描いてみるのも良い勉強になると思います。

2011年5月13日金曜日

作品の紹介 1

アトリエ・ラポルトの最初の受講生Yさんの作品


 モチーフ選びと配置を熟考された結果、古典的なピラミッド構図を採用されました。

 遠近法を考えながらデッサンをした後、明暗法に従って、シルバーホワイトとテールドカッセルで入念にグリザイユしました。






 グリザイユの上に、モチーフを見ながら慎重に色を重ねていきました。













 この方法は、昔から西洋で行われていましたが(16世紀のヴェネチア派など)、一歩間違えるとグリザイユの層に、上層の色がくわれてしまい発色の鈍い暗い絵になってしまします。







 Yさんは、慎重に、そして驚くべき集中力をもって制作を進められ、素晴らしい発色で密度の高い仕上がりになりました。今年傘寿を迎えるYさんの記念となる作品になったと思います。


2011年5月7日土曜日

浜町に記念碑を


  日本最初の油絵画家、高橋由一について思い巡らしながら、休日の浜町や小伝馬町界隈を歩くのもいいものです。
できることなら、由一を研究されている諸先生方に、天絵学舎の場所を特定していただいて、町内会で記念碑でも作ったら如何でしょうか。




天絵学舎があった浜町1丁目付近



油絵具開祖村田宗清の店舗があった大伝馬町3丁目の通り












          
                                                                                                                           
                               


小伝馬町の老舗すき焼店「伊勢重」 創業明治2年
由一もここの牛鍋を食したのではないでしょうか?





ランチにお奨め
牛鍋弁当(900円)















 



小伝馬町の御菓子匠「梅花亭」
創業嘉永3年(1850年)






 ペリーが浦賀に来航した当時売り出した
焼き菓子「亜米利加饅頭」(右下)は、
現在の栗饅頭の原型。
また、「銅鑼焼」(左上)を
創出したことでも知られています。