今回のモチーフは、「フレンチ少女」の胸像です。
筆者はずっとフランス人の少女をモデルにした彫刻のように思っていましたが、最近出版された『石膏像図鑑』(脇本壮二著、堀石膏制作)によると、18世紀~19世紀にかけてアメリカで活躍した彫刻家ダニエル・チェスター・フレンチ作の女性像という意味でこの題名がついたのを知って驚きました。
最初にキャンバスと同じサイズ(P10号)の画用紙に鉛筆デッサンをしました。時間をかけて慎重に進めるT.eさんはここまでに20時間以上かけています。
描きあがったデッサンをトレーシングペーパーでキャンバスに転写します。
このグリザイユで使った絵具は、シルバーホワイト、アイボリーブラック、ランプブラックです。
ほとんどの油絵具は、白を加えると明るくなるとともに色調が冷たく変化します。黒絵具も同様で、この変化の調整に暖かめのアイボリーブラックと冷ためのランプブラック(またはブルーブラック)の2種類の黒を使いました。
油絵を始めて間もないT.eさんには、技法的説明は必要最小限度にして、とにかくモチーフを見て形と明度関係を正確に再現するようにアドバイスしました。
グリザイユ 「フレンチ少女」 P10号 |
油彩に移ってからも30時間以上かけてじっくりと仕上げました。非常に長い時間がかかりましたが、その分油絵を始めて描いてから2作目とは信じられない完成度だと思います。
多少ぎこちないところもありますが、一生懸命描いた姿が伝わってくるような作品です。
このようにアトリエラポルトでは、制作時間を限定することなく目的に向かって作者が納得するまで描いて頂くことが、絵を学ぶ上で大切なことだと考えています。
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