作者のK.yさんは、アトリエラポルトでデッサンから順を追って学ばれて2年が過ぎました。そろそろ習作段階は終わって、自己の表現を探すところにきています。
そこで選ばれたのが、動物の頭骨の標本です。
中心となるのがインパラの頭骨(レプイカ)、その他は鹿の頭骨です。
動物の頭骨は、オキーフなどの現代美術の作家が良く取り上げるテーマですが、写実的な絵画技法の中で扱うには、形が不定形で複雑なので難しいモチーフです。
そこでキャンバスと同じサイズ(P10)の画用紙に繰り返しデッサンをして構図を探していきました。
デッサンが決まったらトレーシングペーパーを使ってキャンバスに転写して、グリザイユで描き始めました。
使用絵具は、カッセルアース(ブロックス)とシルバーホワイト(マツダ)、キャンバスはクレサン社製の中目(66番)で今回は地塗りをせずに直接描いています。
ダイレクトペインティングの手法で、対象の色をパレットで混色して置いていきましたが、絵具の厚い・薄いや透明・不透明を意識して使い分けるようにアドバイスしました
仕上げに近づくにつれて、滑らかで溶け込んだようなモデリングになるように、練り合わせ溶液のスタンドオイルとベネチアンテレピンの濃度を上げ、かなりとろっとした状態の絵具で描くように薦めました。
インパラの頭骨のある静物 (P10号) |
油絵具を始めて手にしてから7作目(グリザイユも含む)になりますが、すでに習作を離れてK.yさん自身の作品として十分に鑑賞できるレベルになったと思います。
キャンバスの目に負けない位たっぷりと絵具がのって大変しっかりとしたマチエールになっています。また、白い頭骨の中の微妙な色合いの変化や寒暖の使い分けも的確でとても綺麗です。
この調子で、より構成や色彩の面を深めていって頂ければと思います。次回の作品も楽しみにしています。
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